売上高を増やすことに集中したら、大赤字になった社長の事例
いきなりですが、あなたに1つ質問です。
売上が増えたら、利益は増えるでしょうか?
私の答えは
増える時もあれば、減るときもある
です。
先日私は、あるゴルフ場の社長が
昨年度の決算報告をする場に参加しました。
社長いわく
社員たちに
この1年間は売上を伸ばせ!伸ばせ!
と、何度も言っていきました。
その結果、確かに年間入場者数は5%伸び
売上高も前年対比で8.3%伸ばしました。
しかし利益は1,900万円の赤字となってしまい
期末の資金繰りは厳しくなり
親会社から急遽出資があって
なんとか急場をしのぐことができました。
社員たちへ売上を伸ばせと言ってきたことが
逆効果になってしまったようです。
今期は赤字から脱却し、黒字にするため
コスト削減を図っていきたいと思います。
コスト削減については
支配人から発表させます。
と、支配人へバトンタッチし
話が続きました。
支配人より年間入場者数は
ネット予約のキャンセル率が
低かったことで増加に転じた
と、説明がありました。
売上が伸びているのに、どうして赤字になるのか?
・仕入れコストがアップした
・人件費がアップした
・固定費がアップした
などなど、いろいろな理由があると思います。
私の手元にあった資料は
貸借対照表や損益計算書はなく、
10年分の売上高、年間入場者数
赤字額だけの数値だったので
その原因となる詳細はわかりません。
ただ私の推測は
プレー代の単価設定が原因だろうと思います。
集客をネット予約に依存したがゆえに
価格競争にどんどんはまり
価格が下がり、気づいた時には大赤字だった
というような流れではないかと思いました。
年間入場者数 55,800人
赤字額 1,980万円
単純に赤字額を入場者数で割ってみると
1人プレーするごとに354円の赤字です。
1組(4人)スタートすれば1,420円の赤字。
問題は、1年の間にこの赤字にいつ気づいたのか?
私としては
期首の前に経営計画を策定し
損益分岐点売上高を確かめ
それを予想年間入場者数で割ってみれば
利益ゼロとなる1人当たりの価格が
おおよそでもわかると思います。
最低限でもその価格以下で売ったらダメ
ということぐらい社員へ伝えておけば
社員はそれ以上に高く売る方法を
一生懸命考えたと思うのです。
ところが売上を伸ばせと言われたものだから
入場者数の増加だけを追ってしまい
利益について考えていなかったのかもしれません。
発表する社長や支配人の言葉を聞いていると
資金枯渇ギリギリになって
親会社に資金協力を得て
前期を乗り越えられた
というような口ぶりでしたので
現預金が毎月減り続けていても
毎月の試算表からその要因や
単価設定を検討することもなく
1年間事業運営をしていたんだろう
と感じました。
お金に関して、社長が注意すべき点は?
「粗利額」
です。
粗利額とは
売上高から変動費を控除した正味の儲けです。
この粗利額から人件費など固定費を支払い
利益が残る構造にしなければなりません。
まずは新規事業年度の前に経営計画を策定し
利益が出る粗利額を知り
それに必要な売上高はいくらかを決める。
毎月の試算表で売上高とコストが
計画値通りに推移しているかをチェックすれば
赤字になることはないはずです。
今回のように
社長が売上高だけを追っていると
1人プレーするごとに赤字ということに
気づかない場合がありますので
新規事業年度の前に儲かる計画を策定することが大切です。