退職した社員からHPやSNSに掲載された本人の写真を削除してほしいと申出があった。さてどうする?
今、社外に企業活動を伝えるため社員が
仕事をしている画像(以下「写真」)を、
自社のHPやSNS(インスタグラムなど)で
掲載している企業が増えています。
企業イメージをアップさせるために、
タイムリーにリアルな情報を簡単に発信できることが、
企業活動で取り組みやすい要因になっているようです。
それと同時に、最近、退職した社員から
HPやSNSに掲載された本人の写真を
すべて削除してほしいとの申出が増えています。
その対応として、自社のHPの写真はすぐ差し替えができても、
SNSの写真は勤続年数が長ければ長いほど、
何年もさかのぼらなければならず、
気が遠くなるような作業になりますよね。
退職者からその申出があった場合、
会社は削除要請にこたえなければなりません。
その理由は個人情報保護法で、
今回はこの法律についてお伝えします。
この法律(第35条関連)でいう個人情報とは
「個人を特定できるもの」をいい、
写真はこれに含まれます。
そして個人の権利や正当な利益が害される場合、
社員は会社へ画像等を削除要請する権利が認められています。
会社はその要請に対し必要な限度で、遅滞なく、
従わなければなりません。
ただし、その削除等に多額の費用がかかる場合や
困難な場合、社員の権利利益を守る代替措置をとることができます。
経営者にとっては、適切な対応をせず、法違反になれば、
社員から損害賠償請求や行政指導等を受ける可能性があります。
HPの写真は差し替えができても、
SNSに掲載された写真を完全に削除することは手間と費用がかかります。
その場合退職した社員の権利利益を守るために
金銭的補償をする必要も出てくるでしょう。
加えてネット上に社員の写真を公開することは、
労使双方にリスクもあるんですね。
社員にとっては、
公開された画像が第三者によって不正に利用され、
詐欺やフィッシング攻撃の対象となる可能性があること。
また転職時に前職の状況がわかってしまい、
新たなキャリア構築やプライベートな面で問題となることがあります。
会社にとっては、
前述の損害賠償請求が起き得る可能性があります。
会社が写真等でネット上に情報発信をする際は、
社員の権利保護のための対策が求められます。
具体的には、今いる社員に対して画像の公開範囲、
退職後の扱い等について事前説明し、
その承諾を書面等で得ておいたほうが良いです。
また退職後の相談窓口の設置とその対応スタッフの役割も
明確にした体制づくりをしておくことも求められます。
気軽に利用できるSNSだからこそ、そのリスクも見直し、
万が一の場合も想定しておいてください。
今回の内容をYouTube動画でも、より詳しく説明していますので、
是非見てください。
Youtube動画はコチラより、どうぞ。
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