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息子さんが親の会社に入社したのに、会社を継がないと言い出した。さてどうする?

  
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息子さんが親の会社に入社したのに、

会社を継がないと言い出した場合の

対処方法についてお伝えします。

私は、円満世襲パートナー(R)ということもあり、
親子経営に携わることが多いんですね。

その中で最近多いのが、
息子さんがせっかく親の会社に入社したのに、
会社を継がないと言い出すことです。

ある息子さんが他社で修行して、
父親の工作機械の会社へ入社しました。

2年を過ぎたある日、
彼は、父親が携わる業界が斜陽産業のため
このままでは先が見通せないので辞めて
以前の会社へ戻ると言い出したのです。

父親は、やっと親子一緒に仕事ができて、
これからいろいろできると期待していた矢先、
その言葉を聞いて、困ってしまいました。

その状況を見た社長の奥様から、どうしたらいいだろうと
私へご相談がありました。

家族で話し合う場を設けること

私は奥様へご家族で話し合う場を設けることを提案し、
弊社事務所へ3人で来てもらいました。

私が息子さんへ、

「もう会社を辞めるつもりなの?
 どうしてそう思ったのか理由を話せる?」

と、聞いてみました。

彼は、

「オヤジがやってきた業界はもう古いんです。
業界自体が縮小しているし、将来がない。
以前勤めていた会社は、先端技術を扱うし、
新しい仕事がどんどん入ってくるので、
とても楽しかったんですよ。
だけど、今はそうじゃない。

それに僕はオヤジのようにはなれませんよ」と言うので、

私が、

「オヤジのようにはなれないって、どういうこと?」

って、聞き返すと、

「僕にはオヤジのように会社をやっていくことはできません。
図面を描いたり現場で組み立てたりすることはできるけど、
経営のことを考えたりするのはムリですよ」

父親(社長)の本当の気持ちは?

私は社長へ、今どう感じているのか聞いてみました。

社長は、長い沈黙の後、肩を落としながら、

「ん・・・・・・・、私自身・・・、
経営なんて考えず、誰にも聞けなかったから、
今までがむしゃらにやってきただけですよ。
・・・・・・・
確かに息子へ何か教えると言っても、
何をどうしたらいいかもわからないもんね。

息子の言う通りにした方が良いのかね」

と言い、また沈黙が続きました。


私の体験を息子さんへ伝えてみると・・・

私は息子さんへ、私が父親の会社へ入社した時の話をしました。

私の父親は、入社した私に最初に言った言葉は、
おまえは現場へ入る必要はない、社員と同じ目線になるな!
社員より頭一つ高い位置から物事を考えよ!

たったこれだけでした。

製造業だったので、私が現場で社員と一緒に作業していると、
父親が、なんでお前は現場へ入ってるんだ!
入る必要はない!社員に任せとけ!と怒り出す始末。

結局、会社の中を見回ったり、事務所で商品サンプルをみたり、
やることを自分で見つけなければならない。

モノ作りについて、どうやって学べばいいのか?
経営のことは、誰に聞けばいいのか?
商品企画は、どうやってやったらいいのか?

誰も教えてくれる人もいなく、
不安や迷いでいっぱいでした。

晩秋になり父親が、毎年正月明けは業界の展示会だから、
そのための新商品を開発しておけ!
と言って、あとは知らんぷり。

さて、どうする?

私は、とりあえず過去の展示会や自社の商品を調べ、
取引先へ情報収集に行きました。

自分なりの新商品を考え、周りの人に作り方を聞き、
なんとか展示会を終えました。

今思えば私の父親は創業者で誰に教わることもなく
全てを自分一人でやってきたことを思えば、
人への教え方もわからないし、苦手だったかもしれません。


親子間のコミュニケーションは、いつも足りない!

私は、親っていうものは基本的に何も教えてくれない人が多いこと、

そのために後継者はみんな苦労していることを伝えた上で、
息子さんへ1つ聞いてみました。

「さっき経営のことを考えたりすることはムリって言ったけど、
もし経営の仕方がわかったら、会社を継いでみようと思う?」

息子さんは少し考えて、考え直してもいいと言いました。

私は社長へ

「経営をする上で、
社長なりに大切な考え方や信念、
そして成功例や失敗はありますよね」

と、お聞きすると、

「確かにあります」と返ってきました。

そこで私は社長と息子さんへ、会社の未来について、
過去も含め、互いの考えを共有する場を
設けてみてはどうかと提案をしました。

それぞれが会社の未来を、どのようにしたいのか。
社長は今まで何を大切にして経営してきたのか。
息子さんは、これから何を大切にして経営していきたいの。
社長や奥様の資金繰りのやり方は、どうやってきたのか。
などなど、

そこに私が円満世襲できるようお互いの橋渡し役として、
意見を調整し一緒に未来を創りますとお伝えすると、

社長と息子さんに笑顔が戻り、
もう一回やってみようということになり、
横にいた奥様も笑顔になりました。

そして今は親子同じ目標に向かって、
会社は移転し自社工場を拡大し発展しています。


親子経営で大切なことは?

親子経営で大切なことは、親子が共通の目標を持ち、
その目標達成に必要な道筋を明らかにすることです。

道筋とは、後継者が経営者になるための育成スケジュールです。
経営に必要なヒト・モノ・カネの知識や経験について、
それを誰が、何を、いつまでに、どうやって育成していくのか。

後継者はこの道筋がわからないから、
自分は経営者に向いていないと思う人が多いのです。

後継者がいくら頑張っていても、
それを見た先代が、そんなんじゃダメだ!と言って口を出すから、
後継者も怒って喧嘩になってしまいます。

私も同じような経験をいっぱいしてきたので、
親子関係って、近いからこそ難しいと思っていました。

でも今は親子経営を上手くやっていくには、
親子双方の意見を翻訳し、調整する人がいれば、
スムーズに発展していくこともわかっています。

今回は、円満な世襲に大切なことで、

  • 親子で共通の目標を持ち、その道筋を明らかにすること
  • 親子間に橋渡し役がいると会社はスムーズに発展すること

について、お伝えしました。

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