正社員として採用した社員の職務能力が低く、勤務態度も悪い。すでに試用期間3か月を過ぎてしまった。この社員の社員育成に悩んでいます。どうしたらいいでしょうか?
ご相談内容
正社員として採用した社員の職務能力が低く、勤務態度も悪い。すでに試用期間3か月を過ぎてしまった。この社員の社員育成に悩んでいます。どうしたらいいでしょうか?
解決方法
先日、ある社長様からのご相談がありました。
その内容は、半年以上前に事務員で正社員として雇用した社員の職務能力が低く、
すでに雇用契約書の試用期間3か月を経過していたので、今更辞めさせるわけにはいかないし、今後その社員をどうしたらいいのかということでした。
その社員は50代の女性で、職務は窓口顧客対応、電話応対、経理、業者への発注・納品書入力、他の社員から頼まれた仕事などです。
その間、ベテラン社員が指導係として毎日丁寧に教えてきました。
しかし、その社員は、仕事を覚えるのが遅い、机の上は書類がバラバラで整理整頓されていない、顧客の名前を覚えないので客先からの苦情が絶えず起きる、PC操作も単純ミスが多い状況でした。
ベテラン社員が、その都度、できない理由を聞いてみると言い訳ばかりをするだけで、
理解したかを確認すると「わかりました」と返事だけはいいけど態度を改めようともしない。
ベテラン社員は仕事に支障をきたすと判断し、
その社員の仕事量を減らし、他の社員へその分の仕事を振り分けました。
あなただったら、この社員をどうしますか?
指導するのを諦めて、解雇しますか?
経営者に解雇権があります。しかしそれを行使しても裁判に持ち込まれた時、労働契約法に基づいて、
その解雇に客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められないと判断されると、その解雇は無効になることがあります。
「客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当である」とは、簡単に言いますと、
解雇理由について誰が聞いても、また世間一般常識と照らし合わせても当然だよね!
そりゃ、しょうがないねと賛同を得られるかどうかということになります。
私は今回の事案について社長様へ一つご提案をしました。
それは、その社員がやるべき仕事をリスト化して、再度それに基づいて一定期間指導をやり直し、そのリストを基に定期的に評価を実施する。
その期間終了後、最終評価をして事務員としての一定水準に達していれば、そのまま雇用し続け、もしそのレベルが達しない場合は配置転換、もしくは退職を促すようお伝えしました。
私は、今後、経営者が社員を雇用する場合、
雇用契約書と共に「職務要件書」の提示が必要な時代になると思います。
なぜなら、経営者は社員の採用に限らず、社員へ正社員として具体的に求める業務等を伝えなければなりません。
例えば役割、能力、責任、勤務態度や期待する成果などです。
それらを書面化したものが職務要件書です。
今回のように試用期間中の者の場合、経営者は職務要件書に基づいて指導・評価し、
その期間終了後、その要件水準に達しない場合は、あらかじめ退職もあり得ることを明示し、雇用契約締結時に社員からその同意の署名をもらうことです。
2020年4月から同一労働同一賃金がスタートします。
国は、社員一人ひとりの役割や責任等を明確にして、その能力や経験に基づく処遇にするよう求めています。
もしあなたが同一労働同一賃金制度や社員育成などについて、疑問やご不明な点があれば、
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