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会社経営が危機状態の時社員が見ているものとは?

    
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会社経営が危機状態の時社員が見ているものとは?

11月30日付の日経新聞に「希望退職に2,170人応募 NEC、照明から撤退」の記事が出ていました。

今回の希望退職は、45歳以上で勤続5年以上の社員を対象に実施した結果、2,000人を超える応募者だったようです。

NEC事態は、2002年3月期売上高は5兆円超えだったようですが、2018年3月期は2兆8,444億円にまで縮小したようです。

更にその間に約8,400人の人員削減を実施してきたようです。

今回の数字と合わせれば1万人を超える人員削減が行われたことになります。

こういう状況になって、今のNEC社内にはどんな人たちが残っているのでしょうか。

中小企業の場合、リストラをしようすると、どういうこと起きるのか?

私の経験上、「社内の一番優秀な社員が、突然辞める」という事態が起きます。

優秀な社員ほど「今いる会社の将来は大丈夫だろうか?この社長でこの事態を乗り切れるだろうか?」とすぐに判断します。

「今の会社の体質や経営者の能力からみて、無理だろう」と思った瞬間に、すぐ次の転職先を探し始めます。

ネットで仕事を検索したり、営業中にハローワーク行ったりします。

今まで年次有給休暇を滅多にとることがなかったのに、採用面接へいくために平日にポツポツと取得することが増えます。

そして、ある日突然、社長へ

「今月いっぱいで辞めさせてもらいます。来週から残っている年次有給休暇を一括消化でお願いします」と言ってくることがとても多いのです。

先日、正にこの状況が、ある自動車部品製造の会社で起きました。

今回の事件が起きる前に、社長から私へご相談がありました。

ご相談内容は、社員ともめない人員削減のやり方を教えてほしいということでした。

今、自動車業界もEV化の流れでエンジン系の部品を製造している会社は、仕事が忙しい会社と受注が極端に減っている会社と2極分化しているようです。

今回の社長は後者で、自動車メーカーから今後のエンジン系部品の発注は減っていくから、

自力で他の市場を開拓して生き残っていくようにしてくれと1年以上前から言われていたようです。

実際に半年以上前から受注が少しずつ減り始めてきたけど、今は社員の仕事量をなんとか確保するだけはある。でも通常の仕事量よりはかなり少ない。

だからと言って今すぐに人員削減をしなければならない状況ではありませんでした。

ただ社長としては、今後受注が減り続けるようであれば、人員削減もやむを得ないこともあるだろうということで、その準備をしておきたいとのことでした。

私は社長へ、人員削減をする場合の基本的な考え方とそれに伴って起こり得ることをお伝えしました。

人員削減(整理解雇)をする場合には、以下の4要件を考慮して実施することをお伝えしました。

整理解雇=経営上の理由による人員削減のための解雇の効力とは

1 人員削減を行う経営上の必要性

2 使用者による十分な解雇回避努力

3 被解雇者の選定基準及びその適用の合理性

4 被解雇者や労働組合との間の十分な協議等の適正な手続き

裁判上、上記4つの観点から整理解雇の有効性が判断されること。

それをお伝えした後、私は社長へもう一つお伝えしました。

私は、

「社長の会社が、まだ人員削減するまで切羽詰まっていないのであれば、

まずは社長と社員が話し合う場を設けて、社員一人ひとりが何を考え

何を思っているのかを聞いて、お互いのコミュニケーションの量を増やすこと去れたらいいと思います。

そして社長自身がこの状況をどうやって社員と一丸になって打開していくのか、会社の未来を示したほうがいいですよ」とお伝えしました。

加えて

「社長、人員削減は最後です。経営者が人員削減をやろうとすると、優秀な社員が最初に会社を辞めますと言ってきますよ。気をつけてくださいね」と付け加えました。

その2か月後、

社長から

「ウチの優秀な社員二人が、突然、今月いっぱいで辞めさせてほしいと言ってきたけど、どうしたらいいか相談に乗ってほしい」と再度電話がありました。

私が社長のお話の状況を詳細にお聞きすると、二人の優秀な社員は、既に次の就職先が決まっており、辞める決意は固かったようです。

私は、こういう事態を多く見てきましたが、たいがい経営者が辞めさせたいと思う社員は辞めさせることができず、

辞めてほしくない社員が最初に辞める事態になってしまいます。

優秀な社員ほど自分で稼げる力を自覚しているので他社へ転職してしまい、

逆にそうでない社員は今の会社にしがみつく傾向が多いのです。

会社の経営が危機に直面すればするほど、社員は社長が何をするのか?何を言うのか?

を見ています。

その時に社長は、どれだけ社員を巻き込みながら会社を運営できるかが問われているのです。

しかし、家族経営の中小企業では、すぐに社員を辞めさせたり、給与削減を実施し、社長や息子は新車へ乗り換えるなんてことが結構多いですよね。

こんな経営者の姿勢は言語道断です。

私も会社経営をしていた時、受注が減り、社員の仕事を確保するだけで精一杯の時が何度もありました。

今考えてみれば、当時の社員も私の言動をしっかり見ていたのだろうと思います。

今私が冷静な目で経営者と社員との関係性を見えるのも、コンサルタントという立場で、

多くの会社を見てきたからわかるだけで、その当時は今のような考えはありませんでした。

私は、今、中小企業経営者に求められることは、普段の社員とのコミュニケーションを増やすこと、

そしていかに今いる優秀な社員を辞めさせないようにするか、他の社員一人ひとりの能力をアップさせていくかを考えなければなりません。

それと同時に新規採用も実施していく必要があると思います。

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