ネット上で、ブラック企業として定義されないために
今、ネット上では「ブラック企業マップ」というwebサイトが話題になっているようです。
厚生労働省が発表している「労働基準関係法令違反に係る公表事案」を元に、
労基署からの労働基準法違反や労働安全衛生法違反で書類送検された全国の企業名を1,000社以上掲載しています。
サイトはこちらです。
日本列島にドクロマークがたくさん並んで、とても奇妙な感じがします。
このサイトでブラック企業として定義され、地図上にプロットされることで、
求職者や転職者にとって応募情報として役立つことだと思います。
実際に違反事案を見てみると、建設や製造業で労働安全衛生法違反が多く、
縫製業では技能実習生に対する最低賃金と労基法32条の法定労働時間違反が多いようです。
具体的には、36協定の未締結やその協定を上回る時間外・休日労働をさせていた内容です。
今回は、労働安全衛生法について。
労働安全衛生法の目的は、国は事業者に労働者の職場での安全と健康を確保させ、快適な職場環境を提供させることを課しているのです。
今回のサイトに出ている労働安全衛生法に関する違反事案を見ても、
労働者の現場作業において最低限の安全確保がなされていなかったと言うものばかりです。
私の経験上、建設業の経営者は、足場の図面や安全管理体制を労働基準監督署へ提出したりするので労働安全衛生法をよくご存知ですが、
小売・サービス・介護業その他の経営者は、労働安全衛生法ってなに?そんな法律は知らないということが多いようです。
私が製造業を経営していた頃も、労働安全衛生法を全く知りませんでした。
その当時、突然、労働基準監督署から1通の手紙が届き、そこには〇月〇日に定期監督で貴社を訪問する旨が記されていました。
そして労働基準監督官が私の会社へ訪れ、「製造現場を見せてほしいと」と言われ、工場内を案内しました。
一通り工場内を見た後、労働基準監督官は「是正勧告書」を取出し、
製造現場の自動搬送ロボットのアームが旋回する周辺を社員が立ち入らないよう柵を設けるよう指導してきました。
私は労働基準監督官へ、ロボットを囲むように柵を設置すると、仕事の段取り時間が増え、作業がしづらくなることを伝え、その指導根拠を聞きました。
すると彼は、労働安全衛生法に工作機械等の取り扱い条文があること、そして経営者には労働者の健康と安全を確保する義務があることを教えてくれました。
労働基準監督官が会社へ来たときは、正直、面倒くさい奴が来たと思っていましたが、
そのことを教えてもらったことで、改めて経営者として自分の姿勢を問う良い機会になりました。
毎日元気で働いてくれる社員がいるからこそ、私も生かされていると思えるようになりました。
経営者は、社員を一人でも雇入れれば、使用者責任と安全配慮義務が必ず発生します。
これはいつの時でも経営者は絶対に忘れてはならないものです。
ブラック企業と呼ばれる会社は、社員をどう思っているのでしょうか。
社員を使うだけ使って、あとはポイ!なのでしょうか。
今年の2018年から18歳以下の人口は減り続けます。いわゆる2018年問題。
今後、若年労働者を確保することは非常に難しくなります。
今あなたの会社がネット上にブラック企業として定義されてしまったら、
サイト運営者が削除しない限り、ずっとブラック企業として表示され続けます。
それも新卒者、転職者に場所や事案をわかりやすい情報として。
インターネットが普及する前だったら経営者は少しくらい法律を知らなくても許されたかもしれませんが、
今は、そんなこと関係なしに労働基準監督署へ訴えられ、最悪、厚労省から企業名が発表されてしまいます。
社員が法律をよく知り、経営者が知らないという状況があまりにも多いのではないでしょうか。
私は、あなたの会社がブラック企業と呼ばれないためには、まず私のような労働法に詳しい専門家に自社を点検してもらうことをオススメします。
弊社では企業様へ労務監査を実施してホワイト企業へのサポートをしています。
自社の現状を知り、そこからできることをやればいいのです。
決して難しいことはありません。