廃業を決心したことでずっと力んでいた肩の力が抜けた!
江戸期の幕臣で小栗上野介が言った言葉に
「一言で国を滅ぼす言葉は『どうにかなろう』の一言なり。幕府が滅亡したこの一言なり」という至言を残しています。
私は、この言葉の意味は他人に依存したり、他人の責任にしたりして何とかなるものではなく、自ら何とかしなれければならないということだと思います。
前回の続きで、
税理士から「今だったら会社をやめても借金をチャラにして終われると思うよ」と言われてから数時間後、
父親、母親、私の3人は廃業することを決心していました。
その翌日、再び税理士のところへ行き、伝えました。
私 「先生、昨日の話で来たんですけど」
税理士 「ご両親へそのことを話してみました?」
私 「はい、昨夜、両親と3人で話し合って廃業すると決めました」
税理士 「えっ!どうしたの?そういう大切な話は昨日今日ですぐ決めるものじゃないでしょ。少なくとも1、2か月くらい家族で話し合って、今後どうするかを考えた上で決めるものじゃないの?」
私 「ええ、そういう話は確かに時間をかけて決断するものだと思います。
先生がおっしゃったように『今ならチャラで終われるけど、半年後はわからないね』であれば、今決断しなかったら本当に後悔すると感じています。
ヤバイとわかっていながら切羽詰まった状況になってから決断しようとしても選択肢がなかったら商売も本当に終わりですよね。
社員や自分達どちらにとってもベストな選択肢がある今、決断をしたのです。
だから廃業するにあたって財務的な面で銀行に対して説明をしてもらうために先生の協力が欲しいです。お願いできますか?」
税理士 「廃業後、あなた達はどうするか考えているの?」
私 「いいえ、何も考えていません」
税理士 「それで大丈夫なの?」
私 「ええ、廃業後の自分達のことを考えだしたら何もできなくなってしまいます。それよりも今なら地元の景気もそんなに悪くないし社員たちが転職し易い状況であること、取引先にも迷惑をかけずに商売が終われることだけを考えています。だから先生、お願いします」
税理士 「わかりました。銀行からの借入返済について問い合わせがあったときは、きちんと対応しますね」
私 「ありがとうございます。よろしくお願いします」
廃業を決心するまでの私は、出社すると現場担当者から
「○○さんが急な欠勤で製造ラインに人が足りません。だから専務(私)、ラインを手伝ってくれますか?」と言われ、
朝から晩まで現場に入り、休憩時間に取引先との交渉を行い、トラブルがあればお客に呼び出される、
社員が帰った後に商品開発、その後資金繰りを見なければならない。
そのため他のことを考える時間や余裕すらなく、毎年の経営計画を立てることもありませんでした。
私は、会社を維持する重圧に必死で耐えていることで精一杯でした。
しかし廃業すると決断した以後、自分の進む方向が決まったことで今までの見えない不安や何かにいつも力んでいる状況から少し解放された気持ちになりました。
今の私は、当然、自分の会社の経営計画や行動計画を立て、定期的にチェックすることをしているので進む方向もわかりますし、どれくらい進捗したかもわかります。
だから以前の会社を経営していた時よりは、今の仕事が楽しくできているのだと思います。
私は、税理士から銀行への借入返済の説明と交渉の承諾を得て、当時の銀行の支店長へアポイントの電話を入れました。
支店長とのアポイントは、その翌日。
私は、どうやって銀行から廃業することの承諾を得るかを考えました。
でも私は廃業を決心したことで支店長を納得させることはできると思っていました。
私は、人は自分の人生に覚悟を決めると意識と行動が変わるような気がします。
私は、何事にも覚悟を決め、一所懸命に行動することで自分の未来は変わっていくと思います。