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夜勤ができる正職員として中途採用したが、能力が低く一人で夜勤を任せられない。
経営者がその正職員をパート職員へ降格または労働条件変更するためにやるべきことは?

  
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夜勤ができる正職員として中途採用したが、能力が低く一人で夜勤を任せられな...

今回の経営者様は弊社のセミナールームへお越しになり、次のようなご相談をされました。
特別養護老人ホーム(特養)で夜勤ができる常勤の正職員として中途採用しましたが、能力が低いため一人で夜勤を任せられない。正職員からパート職員へ降格できるでしょうかという内容です。

私が現状をお聞きすると、
中途採用で10年の経験を持った介護福祉士30代の男性(仮名:安藤さん)を正職員として採用した。入職して1年経過したが、ユニットリーダーや主任が指示を出しても命令に従わない、物忘れが多く、とても一人で夜勤を任せられるような状況ではない。
現場の管理者から、安藤さんを正職員としての配置はムリなので、何とかしてほしいと要望が上がってきている。


この施設の常勤の正職員の労働条件は、原則として1日8時間、週40時間勤務で、早番・遅番・日勤・夜勤ができること。ただ正職員の中には、子育て世代や育児休業明けの正職員については夜勤を免除している者もいます。
給与は月給支払いで賞与もあり、年度末には介護職員処遇改善加算を原資とする特別賞与を支払っています。ただし、夜勤免除者は勤務条件・出勤日数等に応じ減額して支給しています。

私が経営者様に安藤さんの処遇を、どうされたいのかをお聞きすると、

経営者様は、彼をすぐに辞めさせるつもりはない。常勤の正職員として夜勤勤務できない以上、正職員からパート職員へ降格させたいが、そもそも労働条件の変更はできるだろうか。それによって職員ともめごとにならないだろうか。

それが原因で労働基準監督署へ駆け込んだり、労働審判にまで発展してほしくないと心配され、上手い方法があるだろうかと悩んでいらっしゃいました。

私が、加えて現状のパート職員の労働条件についてお聞きすると、

パート職員には大きく2つのタイプあり、

1 フルパート職員 → 1日7.5時間、週5日以内の勤務

2 短時間勤務又は少日数勤務のパート職員 → 1日7.5時間未満及び週5日未満の勤務

給与は時給で、賞与はどちらも寸志程度。

そして経営者様は、できれば安藤さんを1のフルパート職員の労働条件にしたいと話されました。

この問題を解決するにあたり私のアドバイスは、法律的に労働条件の変更をする場合、まず労使双方の同意が必要であることをお伝えしました。

いきなり「あなたには夜勤勤務の能力がないから労働条件を変更します」と言ったところで、職員の同意は得られないでしょうし、ムリに変更しようとすれば大きなもめごとになってしまいます。

そこで経営者様へ常勤の正職員の職務内容とその能力レベルを一覧表にまとめてもらうことにしました。その表を基に夜勤勤務できる能力レベルになるよう6ヶ月にわたって再教育し、毎月能力評価を行うことを説明しました。

その期間終了時点で必要なレベルに達しないときは、フルパート職員へ降格になることあらかじめ伝えたうえで、再教育へ取り組むようご提案しました。

安藤さんにとっても6カ月間の仕事への目標や取り組むべきことも明確になり、やりがいも見出せるはずです。

その評価結果を基に労働条件変更の面談をすれば、安藤さんご自身の結果ですから納得しやすいし、労使双方の対立もなく労働基準監督署等への駆け込みも防げます。

経営者様も、安藤さんを雇用継続したい意向もあり、納得され取り組むことを決意されました。

その後、再教育がスタートし3か月を過ぎて安藤さんの能力評価したところ、必要なレベルに半分しか達していない状況をご自身で知ることとなり、翌月自ら退職されることになりました。

経営者様が職員の労働条件の変更をする場合は、そのための合理的な理由や客観的な根拠を提示して同意を得る必要があります。これをせず、経営者様の主観的な意見や感情だけで強引に同意を得ようとする職員トラブルになってしまいますので、ご注意ください。

職員の労働条件変更やその他お困りごとがあれば、いつでも当事務所へご相談ください。

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